ラブ上等ならぬ○○上等な夜

先日某イベントに呼ばれて麗子と顔を出した。最近流行りの恋愛リアリティーショー番組の出演者たちによるイベントで、一応番組を予習してから行ってきた。渋谷のとある会場に着くと色々と察した。

エントランスでは一般客とインフルエンサーを分けていて招待客風の若者に混ざって受付を済ませながら

「やっちゃったか？」

となった。先ず「インフルエンサー」扱いをされたことのない俺たち夫婦は瞬時に理解した。恐らく番組とタイアップしてるイベント会社がその番組の雰囲気に合ったインフルエンサーに手当たり次第DMでオファーしたような「招待風」だと。招待なら席に案内されるだろうし、失礼のないようにエスコートされる筈。この予測は数秒後に見事に的中した。フロアに上がると席が用意されてる訳でもなく、他のインフルエンサーや客に混じりながら自分たちの居場所をなんとか確保しないとならない状況だった。人に呑まれそうになりながらなんとか掻き分けて進んでいくとBDの選手が数名つまらそうに端に居た。

スタッフのような人が声をかけてくる。

「瓜田さん・・実は今ちょうど話題のBD選手の怪我問題で。。会場での誰かとの撮影は無しでお願いします」

これは流石まともな番組と関わってる人たちだなと感心さえしたので理解した。（昔ならじゃあ呼ぶなよと感じただろうがそんなことは微塵も思わなかった）

出演者のトークを聞きながら勝手に空いてるボックスシートを見つけたので座ることに。

「俺たちを誰だと思ってる？挨拶も来ないのか？」

などと決して自分たちを高く見積もってる訳でもなく、イベント関係者も手探りの中で声をかけてくれたのだと思うと光栄なことだと感謝してる。

先ほどのBD選手がエレベータの方に移動していた。彼らも人気者なので端っこの方で放っとかれた感じがつまらなそうですぐに会場から消えようと考えたのだろう。自分たちも彼らに続いてさっさとおいとましようと麗子と話していたら丁度中央の席に見たことある男がいた。ヤンキーの生態に詳しいみたいなことで飯を食ってるオッサンで、そいつはジャバザハットみたいな風貌でソファにのけぞっていた。トレードマークの禿頭がライトに照らされて光りを放っている。そのジャバザハットは以前誰かのYouTubeで俺や俺の親父の悪口を言ってるのを見たことがあるので”ジャバ”が視界に入った瞬間俺も麗子も機嫌が悪くなった。このままではこのイベントにまでネガティブな感情を抱いてしまうから早く立ち去ろうと「瞬間移動」のように消えることに成功した。

これもひと昔前なら「嫌いなやつより先に帰ったら負けだ」みたいな謎のプライドのせいで居残り、結果としてトラブルに発展していたが、今の俺たちはまるで脳内をディズニーの”イッツスモールワールド”が再生されてるようなおおらかな気持ちで会場を後にできた。そもそもあんな悪口を外で言ってるようなヤンキーの生態に詳しい変なおじさんなんかと同じ空気を吸ってたまるか。

まさにハゲ上等だ。

外に出ると先に会場を出ていたBD選手（大宮喧嘩自慢のメンバー数人）が居たのでむしろ彼らがつまらない思いをしたのかなと思うとそっちの方が腹立たしく感じたけど（親心とかってこんな感じなのだろう）

彼等も特に気にしてないようだったので安心した。そしてちゃっかり帰りに会場でグッズのお土産も頂いたので麗子と帰り道にカフェに寄るとその店がコーヒー2杯で３０００円もしたので”ジャバザハット”のことなんてすっかり忘れてしまった。

（一杯１５００円？シナモンの代わりにCBDでも入ってんのか？）

一杯２００〜４００円前後の安いコーヒー屋には必ず不快な客がいたり若者の喋る声量がデカすぎて落ち着いてコーヒーを飲めない。せっかくPC広げて作業したり、何か頭の中を整理したくても環境が悪くて入店したことを後悔するなんてことはザラだ。そう考えると一杯１０００円以上しても優雅な空間、環境が提供されると思えば安いものだ。

後ろのボックス席には黒人のラッパーみたいな3人組がいて、それも円山町のクラブ通りで暇を持て余してるような”かぶれアフリカ系”ではない、本場L Aから来てそうな”リッチ”な黒人だった。ダイヤのネックレスもダイヤモンドと分かる輝きを放っていた。円山町にいる”かぶれアフリカ系”ならウェンディーズの紙コップのコーヒー片手に”ジルコニア”のネックレスが関の山だろう。彼等がクラブでナンパした女の子との晩御飯の店に選ぶのはもちろん「串カツ田中」だ。

（近年の円安ではそんな比喩も言ってられないが・・）